アメリカ人起業家が教えてくれた、日本で起業する潜在能力
2021-07-21
アメリカ人起業家が教えてくれた、日本で起業する潜在能力
若いアメリカ人起業家との会話、
なぜ日本での起業を選んだか?という質問してみると、
1億人という大きな市場、競争の少なさ、エンジニアの人件費の安さ、という理由を挙げてくました。
アメリカ人起業家の彼はカリフォルニアの大学でコンピュータサイエンス専攻。日本のゲーム・オタクが高じて日本に関心をもち来日する経緯を持ちます。日本でのビジネス経験とコンピュータサイエンスを掛け合わせてwebサービスのベンチャーを起業したそうである。
「もしアメリカで同じことをやろうとしたら10倍競合がいて、10倍競争が激しい。それに日本の人は親切だし、食事が美味しいし、街は綺麗だし、、、。」
奥さんは日本人ですから、日本びいきと言っていいと思います。
それでもNGな点はないの?と突っ込んでみると、言葉少なく「日本の人ってどうにも融通が利かない点があるんだよね」と語ってくれました。
例えばレストランでちょっとしたメニューの変更を頼んでもやってくれないそうである。追加でお金払う、と言ってもNGだそうです。
「ステーキの量を2倍にして欲しい、料金が2倍だすから。たいがいメニュー以外はできません、と言われる。
それなら2つ注文してくださいと言われちゃう。
でもステーキについてくるポテトを2個も食べたくないじゃないですか。
アメリカでは喜んでやってくれますよ。
リクエストに応じてくれれば私もハッピー、レストランも追加料金でハッピーなのにね、不思議です。」
、と言っていました。
ちなみに、𠮷野家には特盛という肉2倍のメニューがある、とはいいませんでした
私が今まで日本のレストランでメニューのカスタマイズなどの融通が利かない点をあまり意識しなかったのは、最初から駄目だと予想して質問すらしなかったのかもしれません。
穏やかな口調で言ってくれたが、彼は日本でビジネスをしていて“なんでダメなの?”という不満を何度も感じているのだと思いました。
彼は日本のビジネスは決まったことを効率的にやることは得意だが、ビジネスを進化させたり、新しいビジネスを作ることとなると途端に苦手(or不得意)になると考えています。
彼の始めたビジネスはあるサービス分野の中でITを使って再定義するものです。
アメリカにモデルとなる似たビジネスは既に存在します。
だからこそ成功事例をさらに効率的にやれば勝てると思って、日本を起業の場所に選んだのだと理解できました。
日本で生活をしているかぎり、慣れてしまって違和感や不満を感じない。
でも実際には社会には様々な非効率や不合理が存在します。
日本社会で変えられない風習・習慣の悪い実例です。
このまえ、某国立大学の教授と久しぶりにZOOMで打ち合わせをしました。
雑談に移ると、定期的に週1回大学に通っている、と嘆いていられました。事務でハンコを押すためだけに通学?出勤?が現実にあるのです。
(コロナ禍でも変わらないのだからもう無理だよね、と先生は諦めモードでした)
国立大学の事務手続きからハンコをなくすのはすごく大変というか、不可能なのではとさえ思えてきます。
実は、
既存の常識を改革することよりも、新しく作ってしまうことの方が効率的になります。
先ほどのアメリカ人起業家のように、新しいビジネスで不便を解決していくことの方がハードルがもっと低くなります。
私はなぜ日本のレストランがステーキ2倍に応じないのか理由を知っているわけではありません。
たぶんカスタマイズはNGというマニュアルなのでしょう。
でも、このルールや習慣に縛られない世界を作ることができます。
新しいビジネスをはじめればいいのです。
新たに始めるのであれば今までのルールや常識はありません。そして、今からはじめる新ルールを気に入ってくれるお客様を見つけてそこから始めていけばいいのです。
それに本質的にサービス分野業界には、恵まれた条件が幾つもあります。
・IT技術を使えば日本の1億人の市場にアクセス可能
・サービス市場は細かく細分化されているので大企業にとってスケール的に参入メリットが小さ過ぎる
・サービスは社会や文化の依存が高いので、国や地域ごとに勝者が個別に存在できる
たとえば
サービス主体のビジネスは社会や文化との関係性が高いです。アメリカのサービスが日本にやってきても必ずしも成功するとか限りません。
もちろん成功事例として、AmazonやNetflixの様に米国と日本でまったく同じサービスが受け入れられているサービスもたくさんあります。
一方で母国ほどの成功をしていないケースもあります。
日本にはヤフオクやメルカリ、アメリカはebayです。メルカリは米国進出していますがフリマはアジア発のエスニックビジネスに留まっています。
そもそもサービス一つひとつは小さい市場の集合体です。合計すれば巨大な市場ですが、サービス内容、地域などで細かく分割されています。
一つひとつは中小企業や個人事業主が主役のマーケットだったりします。
少し余談ですが
ビジネスのディスカッションをしていると例えば「このビジネスってAmazonが入ってきたらひとたまりもないですよね」という人がいます。
私に言わせればナンセンス、市場規模が数十億円でAmazonには小さすぎます。起業前の段階で、最初からAmazonを競合と考える必要はどこにもありません。
これって儲ける前に税金を心配するようなもの、です。売上数十億円になってからAmazonとの関係を悩んでも十分間に合います。
話を戻します、
こうやって考えるとサービス×デジタルという文脈で考えれば市場は至るところにあります。
一見、日本は既存のサービスで成熟しきった様に見えます。
ただし、
私の会ったアメリカ人起業家のような視点で、今の技術でサービスを再定義すれば様々な可能性が見えてくるということだと思います。
彼のビジネスはITを使った一種のマッチングサービスです。
凄い新規性があるとは言えない、
でも顧客の絞り方が上手だな、と感心しました。顧客を絞ることでサービスを光らせるのは王道です。(誰にとっても顧客を絞る手法は再現性が高いと思います。)
彼はそれ以外に日本のエンジニアは優秀かつ安い、とも言っていました。
シリコンバレーの1/3だとか。だから彼はシリコンバレーで活躍している日本人で日本に帰国希望の人をハイヤリングしていました。
アメリカ人の起業家と話をしていると、日本は成熟していて衰退していくばかりだ、という議論などまったく気にしていないのです。
日本のマーケットは成熟していいて衰退していくばかりだ、という主張を誰もが聞いたことがあると思います。
けれども、海外の起業家たちは、そんな言葉を雑音として聞き流し、まったく気にしていないのです。
彼と同じことを我々ができない、してはいけない理由はどこにもありません。
彼のように日本の常識に縛られない視点を持つことは、我々にも可能で、持っていいのです。
必要なことは“なぜステーキ2倍で注文してはいけないのか?”という常識に疑問をもつことだと思うのです。
必要なことは、“ステーキ2倍で注文することは非常識なことなのか?”と疑問を持つことです。
必要なことは、“ステーキ2倍で注文することはできないという思い込み”に疑問を持つことです。
常識を疑ってみる、言葉で言うのは簡単です。
つい自分のビジネス、商品、サービスは特殊だからと言い訳をしてしまいます。そんな時は他の業界や海外の事例に興味を持つ、のは近道になります。
業界外の面白いお魚屋さんの話を聞いたら、自分のビジネスであるお肉屋さんに活かせないか?という思考パターンです。
私は常に、この他のビジネスの本質を自分のビジネスに置き換えて考えるというテクニックを多用しています。
なぜって自分の知っているビジネスより、他のビジネスの方がたくさんあるからです。
意識をかえて見つめれば、宝石の原石が無数に転がっています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。