アメリカ人起業家が教えてくれた、日本で起業する潜在能力
2021-07-21
アメリカ人起業家が教えてくれた、日本で起業する潜在能力
若いアメリカ人起業家との会話、
なぜ日本での起業を選んだか?という質問してみると、
1億人という大きな市場、競争の少なさ、エンジニアの人件費の安さ、という理由を挙げてくました。
アメリカ人起業家の彼はカリフォルニアの大学でコンピュータサイエンス専攻。日本のゲーム・オタクが高じて日本に関心をもち来日する経緯を持ちます。日本でのビジネス経験とコンピュータサイエンスを掛け合わせてwebサービスのベンチャーを起業したそうである。
「もしアメリカで同じことをやろうとしたら10倍競合がいて、10倍競争が激しい。それに日本の人は親切だし、食事が美味しいし、街は綺麗だし、、、。」
奥さんは日本人ですから、日本びいきと言っていいと思います。
それでもNGな点はないの?と突っ込んでみると、言葉少なく「日本の人ってどうにも融通が利かない点があるんだよね」と語ってくれました。
例えばレストランでちょっとしたメニューの変更を頼んでもやってくれないそうである。追加でお金払う、と言ってもNGだそうです。
「ステーキの量を2倍にして欲しい、料金が2倍だすから。たいがいメニュー以外はできません、と言われる。
それなら2つ注文してくださいと言われちゃう。
でもステーキについてくるポテトを2個も食べたくないじゃないですか。
アメリカでは喜んでやってくれますよ。
リクエストに応じてくれれば私もハッピー、レストランも追加料金でハッピーなのにね、不思議です。」
、と言っていました。
ちなみに、𠮷野家には特盛という肉2倍のメニューがある、とはいいませんでした
私が今まで日本のレストランでメニューのカスタマイズなどの融通が利かない点をあまり意識しなかったのは、最初から駄目だと予想して質問すらしなかったのかもしれません。
穏やかな口調で言ってくれたが、彼は日本でビジネスをしていて“なんでダメなの?”という不満を何度も感じているのだと思いました。
彼は日本のビジネスは決まったことを効率的にやることは得意だが、ビジネスを進化させたり、新しいビジネスを作ることとなると途端に苦手(or不得意)になると考えています。
彼の始めたビジネスはあるサービス分野の中でITを使って再定義するものです。
アメリカにモデルとなる似たビジネスは既に存在します。
だからこそ成功事例をさらに効率的にやれば勝てると思って、日本を起業の場所に選んだのだと理解できました。
日本で生活をしているかぎり、慣れてしまって違和感や不満を感じない。
でも実際には社会には様々な非効率や不合理が存在します。
日本社会で変えられない風習・習慣の悪い実例です。
このまえ、某国立大学の教授と久しぶりにZOOMで打ち合わせをしました。
雑談に移ると、定期的に週1回大学に通っている、と嘆いていられました。事務でハンコを押すためだけに通学?出勤?が現実にあるのです。
(コロナ禍でも変わらないのだからもう無理だよね、と先生は諦めモードでした)
国立大学の事務手続きからハンコをなくすのはすごく大変というか、不可能なのではとさえ思えてきます。
実は、
既存の常識を改革することよりも、新しく作ってしまうことの方が効率的になります。
先ほどのアメリカ人起業家のように、新しいビジネスで不便を解決していくことの方がハードルがもっと低くなります。
私はなぜ日本のレストランがステーキ2倍に応じないのか理由を知っているわけではありません。
たぶんカスタマイズはNGというマニュアルなのでしょう。
でも、このルールや習慣に縛られない世界を作ることができます。
新しいビジネスをはじめればいいのです。
新たに始めるのであれば今までのルールや常識はありません。そして、今からはじめる新ルールを気に入ってくれるお客様を見つけてそこから始めていけばいいのです。
それに本質的にサービス分野業界には、恵まれた条件が幾つもあります。
・IT技術を使えば日本の1億人の市場にアクセス可能
・サービス市場は細かく細分化されているので大企業にとってスケール的に参入メリットが小さ過ぎる
・サービスは社会や文化の依存が高いので、国や地域ごとに勝者が個別に存在できる
たとえば
サービス主体のビジネスは社会や文化との関係性が高いです。アメリカのサービスが日本にやってきても必ずしも成功するとか限りません。
もちろん成功事例として、AmazonやNetflixの様に米国と日本でまったく同じサービスが受け入れられているサービスもたくさんあります。
一方で母国ほどの成功をしていないケースもあります。
日本にはヤフオクやメルカリ、アメリカはebayです。メルカリは米国進出していますがフリマはアジア発のエスニックビジネスに留まっています。
そもそもサービス一つひとつは小さい市場の集合体です。合計すれば巨大な市場ですが、サービス内容、地域などで細かく分割されています。
一つひとつは中小企業や個人事業主が主役のマーケットだったりします。
少し余談ですが
ビジネスのディスカッションをしていると例えば「このビジネスってAmazonが入ってきたらひとたまりもないですよね」という人がいます。
私に言わせればナンセンス、市場規模が数十億円でAmazonには小さすぎます。起業前の段階で、最初からAmazonを競合と考える必要はどこにもありません。
これって儲ける前に税金を心配するようなもの、です。売上数十億円になってからAmazonとの関係を悩んでも十分間に合います。
話を戻します、
こうやって考えるとサービス×デジタルという文脈で考えれば市場は至るところにあります。
一見、日本は既存のサービスで成熟しきった様に見えます。
ただし、
私の会ったアメリカ人起業家のような視点で、今の技術でサービスを再定義すれば様々な可能性が見えてくるということだと思います。
彼のビジネスはITを使った一種のマッチングサービスです。
凄い新規性があるとは言えない、
でも顧客の絞り方が上手だな、と感心しました。顧客を絞ることでサービスを光らせるのは王道です。(誰にとっても顧客を絞る手法は再現性が高いと思います。)
彼はそれ以外に日本のエンジニアは優秀かつ安い、とも言っていました。
シリコンバレーの1/3だとか。だから彼はシリコンバレーで活躍している日本人で日本に帰国希望の人をハイヤリングしていました。
アメリカ人の起業家と話をしていると、日本は成熟していて衰退していくばかりだ、という議論などまったく気にしていないのです。
日本のマーケットは成熟していいて衰退していくばかりだ、という主張を誰もが聞いたことがあると思います。
けれども、海外の起業家たちは、そんな言葉を雑音として聞き流し、まったく気にしていないのです。
彼と同じことを我々ができない、してはいけない理由はどこにもありません。
彼のように日本の常識に縛られない視点を持つことは、我々にも可能で、持っていいのです。
必要なことは“なぜステーキ2倍で注文してはいけないのか?”という常識に疑問をもつことだと思うのです。
必要なことは、“ステーキ2倍で注文することは非常識なことなのか?”と疑問を持つことです。
必要なことは、“ステーキ2倍で注文することはできないという思い込み”に疑問を持つことです。
常識を疑ってみる、言葉で言うのは簡単です。
つい自分のビジネス、商品、サービスは特殊だからと言い訳をしてしまいます。そんな時は他の業界や海外の事例に興味を持つ、のは近道になります。
業界外の面白いお魚屋さんの話を聞いたら、自分のビジネスであるお肉屋さんに活かせないか?という思考パターンです。
私は常に、この他のビジネスの本質を自分のビジネスに置き換えて考えるというテクニックを多用しています。
なぜって自分の知っているビジネスより、他のビジネスの方がたくさんあるからです。
意識をかえて見つめれば、宝石の原石が無数に転がっています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
自分のビジネスを理解するためのツール、ビジネスモデル
今回はビジネスモデルの話をしたいと思います。
私は自分で会社を経営、それ以外にもベンチャー企業投資、不動産投資などを行ってきました。おかげ様で年間200以上のベンチャー企業のプレゼンをお聞きする恵まれた立場にもおります。
お会いするベンチャー経営者の事業計画の相談にのることも多いです。正直な話ベンチャー経営者からは驚かれます。私と話をしていると一直線にビジネスを理解して本質的な議論ができるからです。
ベンチャー経営者は数多くのプレゼンをしますが、実は投資家、顧客、あるいは社内でも、ビジネスを理解して貰えないことも多いのです。特に新規性のあるベンチャーの場合さらに理解されにくくなります。
ではなぜそんなことが可能なのでしょうか?
その秘密は「ビジネスモデル」というツールを徹底的に使っているからです。
私は年間200以上のベンチャーのプレゼンをお聞きします。その過程でどうビジネスモデルというツールを使えばいいかが明確になりました。それと同時にビジネスモデルをあまり効果的とは言えない使い方をしているケースが多いことに気づきました。
今回はビジネスモデルというツールを効果的に使う方法をお話ししたいと思います。
これを使えば自分のビジネス、競合のビジネスを深く理解することができます。もっと言えば自分とは業種の違うビジネスからも学びを得ることができます。
つまりは顧客やパートナー獲得に困ることはないでしょう。
更にビジネスモデルにレバレッジを効かせることも可能です。
それではツールとしてのビジネスモデルの話をします。
ビジネスモデルで一番大切なことは「ビジネスが、何のメリットを提供している、または何の悩みを解決している」かに注目することです。
大切なことは何の価値提供と課題解決をしているのか、ということだけです。
当たり前なことを言っていて、“はあ?“と思ったかもしれません。
ビジネスの現場ではそれが当たり前でないのです。
信じられないかもしれませんが、自分のビジネスが何の価値提供と課題解決をしているか、表面的にしか理解していない経営者がたくさんいます。
お魚屋さんは何を提供しているのでしょうか?
魚を売ること、なのですが魚を買うことは何の価値提供・課題解決なのでしょうか?
美味しいものを味わいたい、栄養を得るため、お土産にする、健康のため、今ならインスタ映え、当然幾つもの答えあります。
この表面的に提供しているものに留まっていてはもったいないです。ここをどれだけ掘り下げられるか?なのです。
魚を提供すると同時に季節にあった料理の情報をお伝えしているかもしれません。
そうすることで奥様の献立を考えるのがたいへん、という悩みを解決できます。
あるいはスポーツマンにプロテインの代わりになる、たんぱく質が多く脂質の少ない調理済みのイカ、を販売することも考えられます。
そうすることでスポーツマンの食事制限に簡単に変化を与えられるかもしれません。
何を提供しているか?を深く分析・理解することが利益率拡大の最大の鍵だと思うのです。
私は様々なベンチャーの経営に関わってきました。その中にはビジネスとしてうまくテイクオフできなかったものがあります。(というかその方が多かったです。)
ストリーミングサービスの立ち上げのとき、テクノロジーを使って配信スピードを上げることにフォーカスしました。YouTube登場以前のことです。使ったテクノロジーは素晴らしく、ネット環境がそれほど良くなくても使えました。
しかし、コンテンツが今一つだったのです。質と量がかなり良いアーカイブを頑張って揃えていました。権利関係から新着コンテンツが少なくなってしまいました。
今になって思うのはユーザーの「最新のコンテンツを見て、親しい人と共有したい」という要望にきちっと応えていませんでした。ユーザーは面白いコンテンツでも友人と共有しにくいアーカイブには興味を持って貰えないのです。
一方どういうコンテンツが重要か?コンテンツを使ってユーザーは何を楽しんでいるか?
ここの分析がいま一つだったのです。
韓流ドラマのファンはドラマのアーカイブに喜んで頂けました。しかしそれ以外のユーザーさんの獲得はうまくいかず撤退することになりました。
ビジネスモデルに話を戻します。
ビジネスモデルの分析の鍵は「①価値提供と課題解決」だと話をしました。
これ以外には
②顧客は誰か、
③どうやって提供するか、
の要素で構成されています。
我々はどうしいても“③どうやって提供するか?“に注目してしまいます。それでは目的と手段を取り違えています。手段から入るのはその方が目に見えやすいから、です。
ビジネスの目的=価値提供と課題解決、をどこまで掘り下げられるか?
ここに注目することでいいビジネスができあがっていくと思います。そしてここが定まると、②顧客は誰か、その顧客には③どうやって提供するか、の順番で定まっていきます。
抽象的な話が続きましたので、少し具体的に考えてみたいと思います。
よく例えに出す𠮷野家の話をします。𠮷野家のキャッチフレーズ「はやい、やすい、うまい」のはやい、に注目してみたいと思います。
𠮷野家のカウンターに座って注文、牛丼を食べて会計をするまで多分10分かからないと思います。
「はやい」の持つ価値は何か?𠮷野家は「食事を短時間に済ます、という価値提供」を行っています。「食事を済ます」をより一段階掘り下がっています。
食事を済ませる
食事を短時間に済ませる
食事を短時間に済ませて、ビジネスをはやくスタートできる
食事を短時間に済ませて、ビジネスを早くスタートできて、収入が増える
食事を短時間に済ませて、ビジネスを早くスタートして収入増、家族と旅行ができる、
これを突き詰めていくと、人間の欲求は健康・生命、将来・夢、家族・友人、お金、などに集約されてしまいます。
ビジネスの相手は必ず人間です。
すべてのビジネスは人間の欲求とつながっています。
自分のビジネスの価値提供と課題解決と人間の欲求までの経路をどれだけクリアに把握できるか、がビジネスモデルを考える上での鍵と言い換えられます。
まずは自分のビジネスがどんな価値提供か課題解決をしているのか、それは最終的にどういう経路で人間の欲求にぶち当たっているか、を考えてみることだと思うのです。
考えるというより顧客に教えもらう、と言った方がいいかもしれません。
なぜならお客様が商品・サービスを買う理由はお客様の心のなかにしかないからです。これは逆に自分で商品を買う場合を想像してみればわかると思います。
新しい洋服を買ったのは、おしゃれをして彼氏彼女に素敵、と思って貰いたいから、かもしれません。
ビジネス書を買ったのは、ビジネスの課題を解決→売上増、最終的には所得を増やしたいから、かもしれません。
ブランド品を買う本音は、アイコン化して目立ちたい、からかもしれません。
私は大企業からベンチャーまで様々な会社のビジネスモデルを見てきました。
経営者が自社商品の提供・解決している最終的なものをきちっと説明できる会社は業績好調だし、成長性が高い、と実感しています。
私はお会いする経営者とビジネスモデルの「価値提供と課題解決」を掘り下げてみるという作業を毎日繰り返しています。
今も自分のビジネスでも顧客の価値提供と課題解決は何か?を考え続け、そして文字化しています。
価値提供・課題解決という視点からの思考の繰り返しが重要と信じています。
皆さんがビジネスの初期段階からこれを意識してビジネスモデルを組み立てて貰えば、素晴らしいビジネスができあがると思います。
最後まで読んで頂いてありがとうございます。
ビジネスを始めるのに必要なマインドセット、キーワードは”しょぼい” (別名リーン・スタート・アップ)
あらためて簡単に自己紹介しますと、
大手金融機関のサラリーマンをへて、ベンチャー企業の創業に共同代表として参画、ベンチャーの上場後に退任しました。
現在自ら新しい事業に取り組むだけでなく、ベンチャー企業投資も行っています。
何をやるにしても自分のやっているゲームは何か、ゲームのルールは何か、を理解した上で取り組むべきだと思っています。
ビジネスのルールの前に、プレイヤーとしてのマインドセットが重要になります。
それはいまできる範囲で商品を提供してみる、ことから始めるということ、だと思っています。
これを続けられればビジネスは進化を続けることができます。
更にいえば新しいビジネスの種には困らなくなると思うのです。
それでは話を始めます、
ビジネスですから、商品を提供することが必要です。
でも始めたばかりですから、いきなり完璧な商品リリースはできません。
“しょぼい”商品でも覚悟をもって始めることです。
言い換えれば『最初から完璧な商品を提供しようと考えない』。
少し油断をすると、この始めるというマインドを忘れてしまいます。
ビジネスが少しばかり軌道に乗ってくるとなおさら忘れてしまいます。
もちろん、こだわりは大切です。
重要なのは、こだわりの商品は既に結果を出している人の戦略ということです。
このことを忘れないだけで我々のビジネスへの取組みが大きく変わります。
SNSやブログでの発信も一つひとつが商品だと考えると同じこと、完璧をめざさないこと、が重要になります。
出さなかったTwitterには何の意味もありません。
出すことでフィードバックを頂けて前に進んでいけるのだと思っています。
すこし話をかえます。
偉そうですがビジネスの本質、についてお話をさせてください。
ビジネスの本質は「はやい、やすい、うまい」だと思うのです。
𠮷野家のキャッチコピーとして有名です。ここにビジネスの本質があると同時に、ビジネスをやる上でのもっとも重要なマインドセットがあると思います。
𠮷野家の目的は世界一の美味しさではなく「はやい、やすい、うまい」です。
𠮷野家は築地で忙しく働く人たちに短時間でリーズナブルなスタミナ食を提供するコンセプトで始まりました。
味だけで世界一をめざしたら3,000円の和牛霜降り牛丼になってしまいます。
できる範囲内での「はやい、やすい、うまい」のバランスでした。
ビジネスを始める“いまは”世界一、日本一である必要は当然ありません。
これからビジネスを始めるのですから世界一、日本一のわけがのありません。
いま提供できるベストを提供する、ということが重要です。たとえ“しょぼいもの”だったとしてもです。
あえて性能の劣ったものを提供しろ、と言っている訳ではありません。
野球を始めるのに大谷翔平選手から教わる必要があるでしょうか?初歩の段階ならそれにふさわしい指導者がいます。初心者は初心者向けの指導の経験者から教わる方がいいと思うのです。その指導者は確実に大谷選手より野球は上手ではありません。でも指導者は大谷選手より初心者のメンタルをより理解しているかもしれません。
野球で例えるとしたら、いま大谷翔平選手になれないからと諦めない。最も大切なことは、バッターボックスに入ること。まずはバットを振ることから始める、そして練習を重ね大谷翔平選手を目指すことです。
我々は経験が少ないなかで始めたからこそ様々な特徴を持っていると考えられます。
経験が少ない=最新の方法を使っている。
予算が少ない=コストをかけずにできる方法を見つけた。
試行錯誤した経験=NGも理解し当たりを発見した。
自分たちは『商品を顧客に知らせることから始める』、これ以上重要なマインドセットはないと思うのです。
じゃあ私はできていたのか?全然できていませんでした。
それでは私がなかなかできなかったわけは何だったか?
一言でいうなら傷つくのが怖かった、からだと思うのです。
世界一、日本一を目指して頑張っている、という方が恰好いいからです。
“しょぼい”商品を売っている恰好悪い自分を認めたくなかったからです。
こだわりの商品を作っていると言った方が恰好いいわけです。
売らなければ売上0です。
ベンチャーに関わっていると“しょぼい”商品でも売らざるを得ません。
それでも不思議なことにそんな商品を喜んで使って頂けるお客様がいるものなのです。
なぜなら今までのものとは違う何か、が必ずあるからなのです。
それは“しょぼい”ことの特徴の一つなのです。
ベンチャーにないものは実績とお金。
だからこそ、重要なことは“覚悟をもってお客様に勧めてみること”と気づいたのです。
このような経験を何度してきて気持ちが楽になりました。(遠回りもしましたが、、、)
まずは“しょぼい”商品からでもはじめる、と宣言する。そして提供したものを改善していきます。世界一、日本一を目指して改善していく。このめざしていく、というスタンスにプライドを持てたらいいのだと思います。
ベンチャーの世界ではこの一連の考えかたを『リーンスタートアップ』といいます。
これは「コストをかけずに最低限の商品をまずはつくって顧客の反応を得て、より満足できる商品にしていくもの」と言われます。
ベンチャーの世界では逆に商品にこだわっていく手法はプロダクト・アウトと呼ばれます。商品自体に特徴があり、他社に対して圧倒的な競争力があれば可能です。
ただし、これは勝者の戦略ですのでスタートアップの段階では採用しにくいです。
基本ほど続けるのが難しいと思います。
少し油断するとこの『リーンスタートアップ』のマインドから外れてしまいます。それは現状維持だったり、プロダクト・アウトを言い訳にしていた方が楽だからです。
経営のうまく行っている経営者にお聞きするとみなさん商品にはこだわっています、と言います。
そんな経営者でも実はしょぼい商品から始めているのです。
(経営者の立場では最初はしぼかった、なんて絶対に言いません。)
改めてビジネスの重要なマインドセットとは何か?
スタートして改善する覚悟です。
たとえ恥ずかしい “しょぼい”ところからでも、改善を続けることです。
私はこれがビジネスをテイクオフさせる一番のドライブになると信じています。
油断をするとこの気持ちを忘れてしまいます。
私自身しょぼいことからでもはじめることを忘れないために、いつも新しいことにトライしようと日々あがいています。
最後まで読んで頂いてありがとうございます。
自分でビジネスを始めるのと、株式投資のどっちが儲かるか?
自分のビジネスをスタートするのと、株式投資、これを比較してみます。
この比較を読めば、どうして自分のビジネスの方が儲かる、と言えるのか考え始める第一歩になると思います。
この思考回路さえでき上ればどんなビジネスでも勝てると思います。この思考回路こそがビジネスの本質、だからです。
簡単に自己紹介しますと、
大手金融機関のサラリーマンをへて、ベンチャー企業の創業に共同代表として参画、ベンチャーの上場後に退任し複数のベンチャーの経営をサポートしながら投資も行っています。
私は金融機関の内側も外側からも知っている
ベンチャーも経験している、
その両方の経験を伝えられる、数少ない人間だと思っています。
そんな経験からお話してみたいと思います。
先に株式投資、いわゆる上場株式に投資を行う場合からお話します。
証券会社に口座を開設すればすぐに始められます。
それでは上場株とはどういうものなのでしょうか?
東京証券取引所に上場している株式価値の合計は735兆円!です。
そのうちの70%が海外の機関投資家、15%が日本の個人投資家です。
(機関投資家とは投資信託などファンドのお金、と考えればいいと思います。)
証券市場は今や世界で一体化していて、ある会社から将来性があると思えば世界中から投資家がやってくるのです。
言ってみれば大リーガー、日本のプロ野球、日本の高校野球、そして野球を始めた人、
これらが一緒に競い合っている市場です。
私はベンチャーを経営している時代、機関投資家とのミーティングでニューヨーク、ロンドンなど様々なところでミーティングをした経験からよく知っています。
彼らは専門の調査スタッフを抱え、証券会社からレポートを購入し、AIプログラムを駆使して売買しています。一人で数十億円〜数百億円の運用をするなど資金量も巨大です。
結論から言えば、ビジネス初心者が海外の機関投資家と同じ土俵で戦ったら勝てないと考えています。なぜなら機関投資家と個人では情報量と資金量が圧倒的に違います。
もう1点あります。
皆さんは株式投資の存在を宣伝や雑誌で知ったはずです。
株式投資の関連ビジネスは巨大ですので多額の広告宣伝費が投下されています。
株式投資がこんなに儲かる、という内容です。そういった記事も溢れています。
つまり株式投資は誰かの作った、誰かの利益のための商品でもあるのです。
金融機関にいたとき、こちらの進める商品を個人のお客様が勝って頂けるのをみて驚きました。それって多額の広告費のうえに成り立つ一種のブランドビジネスだ、と気づきました。
そんなこともあり
私は、上場株投資はほとんどやってきませんでした。
株式投資を行うには事前の学習・調査に膨大な時間がかかると判断し、ベンチャーの経営にフォーカスしました。なぜってその方が明らかに儲けが大きいですから。
次に自分でビジネスをスタートする場合を考えてみましょう。
自分でビジネスを始めたとします。スタート時点のビジネスの大きさ、内容はこれでなければいけない、と決めつける必要はありません。
むしろ一つにこだわらずお客様の良い反応がでるビジネスを見つけるまでどんどん変化させていきます。
儲かるビジネスはお客が教えてくれます。そこにフォーカスすれば利益率の高いビジネスになっていくのです。
さらにそうやって作られた自分のビジネスは本質的には競争はほとんどなくなっています。
自分のビジネスは、「お客様×商品×自分自身」で構成されています。特にスタート時点の規模が小さい間は自分のキャラクターや能力の占める割合が大きいです。
ですから他の人と同じ土俵にはなりようがないのです。競争がなければ利益率は高くなります。
競争の激しくない自分のビジネスに自分のお金と時間を投資したとします、儲からないはずがありません。
段階的に大きくしていけますからリスクもコントロール可能です。
但し一つ条件があります。世間の常識や自分の持っている偏見をいったん横において、お客の反応に向き合うことです。
私はこの偏見を捨てることができず、たいへん遠回りしました。
私は大手企業向けのビジネスが偉い、
サービス業より製造業の方が偉い、
社員数の多いビジネスほど偉い、
という刷り込まれた常識を持っていました。
要はカッコいいビジネスを求めてしまったのです。
今から思うとたくさんのビジネスチャンスを見逃してきたことか、悔やんでも悔やみきれません。
カッコだけを求めてしまうと、大手との競合もあったりと競争の厳しいレッドオーシャン市場だったりします。
(レッドオーシャンとは参加者が血を流しながら戦っている市場のことです)
ビジネスをやる目的は自分を満足させることではありません。
ビジネスをやる目的はお客様を満足させること、の一点です。
読んで頂いている皆さんの疑問はそんな儲かるビジネスがあれば直ぐに始めるよ、と思っていると思います。
ここで先ほどの公式(?)に戻りましょう。
自分のビジネス=「お客様×商品×自分自身」です。
もう一度説明すると、実は商品が同じでもお客様と自分が違ったら他人とは違うビジネスになるということです。
街のコンビニと海のビーチで売っている同じアイスクリームは同じ価値でしょうか?
有名な美容師と新人の美容師の、同じ髪を切るのは同じ価値でしょうか?
自分のビジネス=「お客様×商品×自分自身」のうち何かが違えば別のビジネスになるということです。
自分がやれば何が儲かるか、はお客様が教えてくれます。
やるべきはお客様から教えて頂ける環境を作ること、そしてそれに従って変化していくこと、なのです。
株式投資との比較でいえば自分のビジネスの儲けの秘密を宣伝する人はいません。
特にビジネスを始めたばかりのタイミングでは金額が小さくマスコミも興味を持たないのが普通です。小さなビジネスを始めたら儲かって、という本当の話は表にはでてきません。
(売上や社員獲得のため宣伝はしますが、本当の儲けの秘密は言っていないと思います。)
まとめます、
株式投資は誰でも参入できる、競争が厳しい、宣伝されよく知られている
自分のビジネスは自分しかできない、競争がない、宣伝されていないので知られていない
株式投資と違って自分でビジネスをやった方がチャンスは大きいかも、と思っていただけたでしょうか?
私は多くのベンチャー経営者から話を聞くことでビジネスにはチャンスがある、という思いを確信に変えていきました。
先輩経営者もみな聞くこと、考えること、行動すること、を繰り返しています。
知り合いのゲーム会社の創業者は大学生時代から先輩経営者へのインタビューを趣味(!)にしていました。
B2Bのマーケットプレイスで上場したオーナーは日本経済新聞の「私の履歴書」を読むのが趣味だと言っていました。
あるコンサルティング会社の社長は自分がリストラされたとき、在籍していたコンサルティング会社の社長にビジネスなら何が儲かるか?と聞いたそうです。リストラ後言わとおり始めた、と語っていました。
誰でもできるとは言いませんが私の場合は
今もたくさんのベンチャーのピッチを聞いています。世の中の変化を知りたいのと、何もなかった0→1の時代を忘れないため、でもあります。
今はSNSがあります、Twitterやブログを通じて個人の声を直接感じられます。
人は何を望んでいるか、自分は何ができるか、コストゼロで確かめることができる時代にいます。
要は行動しないと何もわからない、行動始めれば学びが必ずある、ということだと思います。
私もこの原則に従って日々考え、行動しています。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
お金を稼ぐには、資本主義のプレイヤーになること〜過去の自分の告ぐ
本日は資本主義の話をします。
資本主義を理解したとたん、お金を稼ぐことへの抵抗が一切なくなり
資産を積み上げることで経済的な豊かさを手にいれることができたからです。
例えば資本主義、と聞いて大企業を連想しませんか?
過酷な競争社会、弱肉強食、もっと言えばブラック企業、
といったイメージを持ちませんか?
私もそうでした。
一般的にはその様に考えられてきました。
でもこの考えではおもっいっきり損をすると思うのです。
資本主義のプレイヤーになることを理解すれば
誰でもお金をしっかり儲けてダッシュで成長できると思います。
私のたどってきた経緯を含めてお話を始めます。
(私は時間がかかり過ぎていますのでバカだなと思いながら読んでください)
金融機関のサラリーマンだったころの私の話をします。
「お金を儲けるのは大企業でないと無理、大企業以外は下請けで儲からない」
(大企業以外で儲けているのは老舗企業オーナー、医者、不動産オーナー、程度のイメージしか持っていませんでした)
「お金は欲しいけど、、、」
(すごい苦労をしたり、他人から批判されてまで儲けたくない。)
「お金を儲けるためにもっと仕事量を増やす、勘弁して欲しい。」
(私はサラリーマンとして既に十分の長時間労働をやっていました)
「そもそも大儲けする人は特別な家柄や才能がないとだめ。」
(これって完全な他者依存で、当時の私にしっかりしろよ、といいたくなります)
結局どうやったら自分でビジネスをやって稼ぐかの情報が圧倒的に足りていませんでした。
幸いなことに当時金融機関での仕事を通じ、様々な企業オーナーにお話する機会がありました。
今でも鮮明に覚えているある創業者のお話です。
この方は大型小売店舗を多店舗展開するビジネスをやっていました。
このビジネスはカテゴリーキラーと呼ばれ、ニトリやユニクロなど特定分野で圧倒的なシェアを持つ会社のことです。
ゼロから地方で創業し、創業20年をへて首都圏に本社を移転し全国制覇を成し遂げたオーナーにお話を聞かせていただく機会がありました。
場所は表参道の自社保有の大型商業ビルの応接室です。
部屋にはオーナー自慢のシャガールの絵画コレクションが飾られていました。
仕事の話が終わって雑談になったところ、ビジネスを立ち上げたときの話をしてくれました。
オーナー曰く、
「最初の商いは行商だったのです。まずお客さんのところに行って注文聞きをする。注文が入ってから商品を仕入れにいったものだった。お金もない、人脈もない、商品もない、これ以外の方法は考えつかなかった」
ビジネスというより商いと呼んだ方が合っています。
オーナーはここからスタート、米国のカテゴリーキラーのビジネスモデルにヒントを求めます。そして「海外での商品調達+多店舗展開」のビジネスモデルで大成功を収めていったのです。
「行商だった当時と今のビジネスと何も変わりませんよ。お客様の喜ぶものをお聞きして提供するだけです。行商の時代にお客様からビジネスを教えてもらいました。」。
このエピソードが私にはとても重要な意味を持っていました。
平凡な家庭に育った私には、経営者と呼ばれる人は周囲にはいませんでした。
そんな中で実際に目の前にいる実在する方からお聞きをすれば臨場感が高まります。
一代でこれだけの会社を作った人が目の前にいる、ということに大いに刺激を受けました。
仕事でのお付き合いのなかで、若手の私にも声をかけてくれます、また会議ではおやじギャグで滑ってしまう、そんな気さくな方でした。
(もちろんビジネスではめちゃくちゃ厳しかったですが)
臨場感だけではなく、0から初めて50年かければ資本家になれる、という見本でもあるのです。
いきなり抽象的な話をします。
資本主義とは「誰でも資本家となって好きなものを商品化して儲ける自由のある社会」のことです。
資本主義を使うと大企業にもなれますが、大企業しか資本主義を使えない、
ということではありません。
50年前にオーナーが行商を始めたとき、いわゆる資本家に見えたでしょうか?
彼は一人で資本主義の流儀でお金儲けを50年続けた結果、大企業になったのです。
私はその後多くの起業家と仕事をご一緒させていただき、またベンチャーの共同創業に参加する機会を通じ、どんな大企業にも0→1、一人でスタートする瞬間があるということを実感していきました。
ビジネスを一人で立ち上げたとき、およそイケてない、しょぼいビジネスからしか始められないものです。でも続けていれば資本主義によって大きく見栄えのするようになります。
成功すると最初の第1歩が逆に見えなくなってしまいます。
成功している多く人は最初の第1歩についてほとんど語りません。
(皆さんは、しょぼすぎて話をしたくない、あるいは昔すぎて忘れてしまっている、とにらんでいます。)
”しょぼすぎる”流れで本を紹介させてください。
矢沢永吉「成りあがり」
広島から横浜にでてきた当時の0→1の0の部分のしょぼすぎる所が描写されています。今となっては昭和な話かもしれませんが、糸井重里氏の編集で面白いです。
「自分が、まず、やんなよ。色々とノーガキたれる前に」
話を戻します、
“しょぼすぎる”というのは大事なキーワードで、経験が少なく小資本でできるビジネスをやろうとすれば“しょぼい“ビジネスになってしまいます。
資本家として成功するには、まずは一人で“しょぼい”ビジネスを始めるという覚悟だけです。
一人で始めるメリットは
自分の意思決定だけでできる、
納得のいくまで試行錯誤ができる、
固定費が安い、
ことです。
先ほどの行商の例にもどります。
行商とは顧客のところに行ってニーズを聞いてから届ける。
インターネットを使わないD2C(デジタルを使った消費者直販ビジネス)のビジネスモデルだと思いませんか?
今やテクノロジーを使えば行商と同じことが小資本で、より大きな規模でできると思います。今は “しょぼい”ビジネスをそのまま終わらせるか、大企業まで成長させるか、それはビジネスをスタートさせたオーナーである資本家の行動によると思うのです。
最初はどんなに小さくとも
ビジネス・オーナーとして、資本家として
資本主義のルールを活用してビジネスをやっていけばいいと思います。
資本主義の時代、
特別な家柄や才能がなくてもビジネスを始めるのに何の制約もありません。
お金を稼ぐには、
資本主義を理解したうえで最初から資本家としてプレイヤーになることが重要だと思うのです。
私が、お金を稼ぐなら、と問われたら、過去の私に言ってあげたい。
「資本主義を信じて、資本家をめざせ。最初は”しょぼくて”いいので100%自分で始めろ。経済的成功はこの一択だ」
後天的に恐るおそる資本家になっていった過去の私に、
何をやっているんだ直ぐに行動!と叱ってやりたい。(すみません、熱くなりました)
本日も最後まで読んでいただいてありがとうございました。
アマゾンが解決してくれる私の欲望とビジネスモデルをつくること
こんにちは、青山治樹です。
これまで2000社以上のベンチャー企業のビジネスモデルを見てきて、
また私自身も上場まで経験したことから言える
「ベンチャーならではのビジネスモデルの作り方」をお話したいと思います。
このビジネスモデルの作り方を知っているだけで
資金調達があっさりとうまくいき、
高い利益率を出すことができ、
グローバルでも通用する強い経営力になる。
でも、なぜか多くの起業家がビジネスモデルの本質を理解していない、
我流で挑戦してしまうから失敗するのですね。
その「ビジネスモデルの作り方」をみていきましょう。
結論は
「様々な顧客の欲望をインプット、自分のビジネスモデルに当てはめること」です。
抽象的すぎますので、私がアマゾンを通じて考えたことをお話します。
私がアマゾンで本を買うヘビーユーザーです。
あるときどうして私はアマゾンでこんなに本を買ってしまうのだろう?
と考え始めました。
アマゾンのメリットを整理してみます、
・タイトルがわかっている本は検索で100%みつけられる
・レビューでざっくり納得して購入できますし、関連の本も見つけられる
・アマゾンで注文すれば本が翌日ポストに来る、
・これがすべてネットで完結、
アマゾンがなかったときは本を探すため本屋に行きました。(当たり前)
ビジネス関連の本となると大きな本屋にいく必要があります。
読みたいと思って直ぐに本屋にいけるときばかりではありません。
アマゾンで“ポチる“と翌日には読めます。
本を入手することに必要な時間の節約はありがたいものです。
それではなぜ時間の節約がありがたいか?
ビジネスには必ず期限があります。時間の節約とは期限のなかで成果を最大化することです。
これを突き詰めていくとそもそも人の人生には時間の限りがあって、時間の節約=成果の最大化=命の延長と同じこと、と気づきました。
アマゾンのサービスの本質は「読みたい本を早く、安く読める」という課題を通じて顧客の「命の延長」という本質的な欲望をかなえているのです。
私自身アマゾンを使うようになって読書量は劇的に増えました。
アマゾンがなかったら毎日のように本屋に行っていないといけない。
それは現実的に不可能です。様々なテーマの本を乱読するには不可欠といえます。
こう思うようになったのには伏線がありました。
あるときAIの研究者と議論をする機会がありました。
話が終わって雑談になりました。その学者は昔は読まなければいけない論文を集めるだけで一苦労だった教えてくれました。
人口知能の研究初期には論文のデータベースがなく海外の論文を郵便で取り寄せていたそうです。
学会のジャーナル(雑誌のようなもの)を読んで面白い論文を探す→海外の研究室に手紙で請求する→郵便で送られてくる、
といった手続きが必要だったのです。平気で1か月かかっていたそうです。
あげくは論文は教授が独占して、若手研究者は簡単には見せて貰えなかったそうです。
今はインターネットで論文がダウンロードできるようになっています。
若い学生が一番ダウンロードの恩恵にあずかっているのだそうです。
学生は短期間にたくさんの論文を読んで先輩研究者に追いつけるようになったと言っていました。
それまでは論文を探し出して揃えるだけで時間がかかっていたので先輩には勝てなかったそうです。
要は今までより短時間で情報のインプットができる時代になったのです。
そのとき私もアマゾンを使って同じことをしている、と気づいだのです。
ビジネスに限らず歴史、地理、物理学、宇宙など様々な本を読みます。
乱読とAIの研究を同一視するのもおこがましいですが、
アマゾンがなかったら様々なジャンルを読むのはたいへんだったのだろうと想像しています。
なぜアマゾンで本を買ってしまうのか?この疑問と論文の話がごっちゃになって「命の延長」という表現がふっと頭に浮かびました。
「ベンチャーのビジネスモデルの作り方」に話を戻します。
アマゾンのビジネスの本質などサラリーマン時代の私は考えもしなかった。
でもビジネスを立ち上げると自然に「自分の欲望」が気になるようになりました。
アマゾンが発端となって「命の延長」という欲望を解決するビジネスが他にもあるのででは思ったのです。
それを軸にして様々なビジネスが見えてきました。(この話はまたどこかでします)
人はどんな欲望を持っているのか?
抽象化してまとめてしまえば、お金、健康、夢、人間関係、などと言われます。
それだけでは自分のビジネスには結びつきません。
抽象化した欲望とビジネスの具体例を通じてその関係を考えていると、ひょんなことからビジネスモデルが生まれると思うのです。
自分のビジネスを考えてみて、
自分が人のビジネスを使ってみて、
成功しているビジネスを聞いてみて、
これを繰り返していて、ふと気づくと顧客の「課題と欲望」が感じられるようになります。
世の中には素晴らしい商品、サービスがたくさんあります。
そこに「課題と欲望」が感じられたとき、
ビジネスモデルを教えて貰ったようで嬉しくなってしまいます。
そんなインプットの繰り返しの中からヒントを貰って、自分にあった強いビジネスモデルがでてくると思っています。
この過程をへたビジネスはなぜ強いか?
顧客への説得力が上がるのは当然で、社員、協力会社、投資家などすべてに対し破壊的インパクトを持つと思います。
これが最強の「ビジネスモデルの作り方」だと私は考えます。
今も様々なビジネスに触れるようにして、「課題と欲望」を考え続けています。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
「ムーアの法則」が教えてくれるビジネスの必勝パターン
「ムーアの法則」が教えてくれるビジネスの必勝パターン
半導体はテクノロジーによって指数関数的にコストが下がるから、です。
長期的な視点でビジネスを考えることの大切さを教えてくれています。
ムーアの法則を簡単に説明します。
1965年に後のインテルの創業者であるゴードン・ムーア氏によって提唱されました。
ざっくり言えば2年毎に性能は倍になる、あるいはコストは1/2になる、
と考えて貰えばいいと思います。
これがビジネスとテクノロジーの関係を一言で説明しているのです。
その前に自己紹介です。
私は金融機関をへてテクノロジー系企業の共同創業にかかわり、その前後でベンチャー投資に関わってきました。
投資した日米のベンチャーには半導体専用のソフトウェア、半導体の製造装置なども含まれています。
ムーアの法則はインテルを始めとする半導体産業の繁栄のシンボルであり、シリコンバレーを中心とするハイテク文化の精神的支柱といっていいと思います。
ご存じだと思いますがシリコンバレーとは米国サンフランシスコ近郊のハイテク企業が立地しているエリアのことです。Intel、Google、Facebook、みなこのエリアにあります。スタンフォード大学を中心として優秀なエンジニアが集まっています。
雨の少ない気候のよい所です。私も訪問時、雨に降られた記憶は一度もありません。
話を戻します、
それではなぜムーアの法則を理解することは勝てるビジネスモデルを作る点から最重要です。一つひとつみていきましょう。
2年毎に倍になると半導体の性能は劇的に増加します。
2年後には2倍、5年後5.66倍、10年後32倍、20年後1,024倍、50年後33,554,432倍
となります。
性能の向上=コストの削減ですので50年前の半導体の1/33,554,432の価格になったということです。
スマートフォンを例に説明しましょう。
スマートフォンはコンピュータと同じ機能で、その心臓は半導体です。
スマートフォンの半導体の価格を3万円とすれば50年前同じ性能のコンピュータはその33,554,432倍ですからその価格は1兆円!ということになります。
現代では50年前には1兆円したコンピュータを普通の人が持参しているのです。
技術的な説明をしておきます。(興味のない人は飛ばして結構です)
半導体の性能は搭載されているトランジスタの数によって決まります。
たとえば消しゴム大の大きさに1,000個のトランジスタが搭載されているとします。
これが2年後には同じ面積で2,000個入ることになります。.
そうなると例えば半導体を2個使っていたコンピュータが半導体1個で製作できるようになります。
技術的には半導体の設計ルールを微細化していくことでこれを実現しています。
例えるならばノートに書く字の大きさを1/2にします。
1/2の文字を使えば同じ情報を書くのに必要なノートの量とコストが半分になる、
とイメージできます。
この技術への信頼が新しいビジネスの土台となって新しいビジネスが生まれる循環が回っています。最近で言えばUber、Tesraなど続々誕生しています。
半導体の価格が下がる→半導体を使ったコンピュータの価格が下がる
→コンピュータを使ったビジネスのコストが下がる
という循環が働くのです。
これが冒頭にいった指数関数的にコストが下がる理由です。
指数関数的グラフはいわゆる放物線ですね。投げた石は加速度的に落下しています。
落下する石からイメージできるといいのですが、加速度的に早くなり大きな破壊力を持つことになります。
注意が必要な点が2点あります。
半導体の最初のアプリケーションは電卓と呼ばれたものでした。
(スマホの普及で数年後には姿を消すのかもしれませんが、、、)
- ビジネスにおいてな長期的な変化は見過ごされがちです。
ビジネスのサイクルは通常1年、長くて3年です。
一方指数関数的効果は5年、10年と長期になるにしたがってその効果が加速度的に拡大します。
今から35年前IBMはパーソナルコンピュータが売れるのは世界で数十台と予測したと言われています。半導体の専門家であったIBMは指数関数的価格下落と家庭用PCの需要拡大を予測することに失敗しました。
それではビジネスにおいて指数関数的な利益を獲得することが可能でしょうか?
この予測に勝って主導権を握ったマイクロソフトと同じ立ち位置につく、というのが模範解答でしょう。
もう少し掘り下げてみたいと思います。
マイクロソフトは半導体の下落と逆さまの向きで指数関数的に利益が増えていきます。
マイクロソフトの製品は数が増えても製造コストはほとんど変わりません。
彼らのソフトウェアの販売による利益は先ほどの指数関数的下落の逆さま、指数関数的増加が実現するのです。
ビル・ゲイツはマイクロソフトを設立してIBMと契約するまで10年近くのいわば下積み期間がありました。
ビル・ゲイツにはパーソナルコンピュータが誰にでも使う時代が来る、というビジョンがあったのです。
マイクロソフト=極小のコンピュータソフトという社名からも明らかだと思います。
ムーアの法則に従えば個人がコンピュータを使うことはビル・ゲイツにとっては必然だったのです。
ビル・ゲイツはムーアの法則にそなえて10年前から準備をしていたのです。
残念ながら多くの人間はビジネスを短期的な視点でしかみていない、
長期的に考えられない、
という限界を抱えているのでしょう。
これは人類が洞窟に住んでいた時代の名残りだと思います。
今日のご飯がなければ長期には考えられません。
短期的に考え、短期的にだけ行動するのが理に適っています。
半導体、コンピュータではムーアの法則は50年にわたって有効でした。
これから50年も有効だと思います。
半導体、コンピュータの世界のことは誰にでも影響します。
ビジネスを長期的な視点で考え、今から短期的に行動を開始する、
これがムーアの法則の教えてくれることです。