答えるのに困る質問、年収はいくらですか?
「年収は幾らなんですか?」
時々こんな質問をいただきます。
わたしよりずっと若い方から年収を聞かれた場合、
色々なことに気づいて欲しいので正直に答えています。
「所得は年間1億円を超えていましたが、
今は投資に回しているので抑えています。」
世の中には私よりもっと稼いている人はたくさんいます。
自慢できる立場でもないにも関わらず、どうして私がお答えさせて貰っているのでしょうか?
一言でいうなら皆が気づいて経済的にも精神的にも豊かになって欲しいからです。
だから恥ずかしくても聞かれればお答えしてきました。
その前に自己紹介させてください。
私は金融機関に勤めるサラリーマンからスタート、ベンチャーの共同創業者を経て、
今はコンサルティングを中心とした企業経営、ベンチャー投資、不動産投資、など様々な活動をしています。
たいへんありがたいことに今は好きな仕事に専念できています。午前中は自分の事務所で戦略をねったり、午後は限られた仲間に会ったりして過ごしています。
自宅と事務所はほんの数分ですので家族の時間を大切にすることができています。
それでは年収の話に戻しましょう。
幸いなことに私は今の生活の中で年収を気にしないでいられます。
年収を気にするのは年に1回、確定申告のときだけかもしれません。
私の所得は様々なもので構成されていますし、
固定費は不動産収入など不労所得でカバーされています。
それだけでなく所得は年収と違って不安定なのです。
先行投資をしたタイミングなら所得は減りますし、
資産を売却すれば所得は一気に増えます。
一方年収はサラリーマンの発想だと思います。
給与所得を1か所から貰っていて、同期・友人と給与を比較し勝ったか負けたか、
と考えてしまいます。給与の金額が生活に直結し、いらないプライドにまで関係してしまう状態です。
私自身がサラリーマンだったときは正にこんな状態でした。
サラリーマンの私はもっと給料を上げるために様々な努力をしました。
深夜残業をして営業成績をあげ、難しい資格取得のために土日勉強し、仕事の効率化のビジネス書を読んでいました。
そもそももっとがんばって年収を上げようという発想自体が間違っています。
もっといえば年収を他人と比較すること自体誤りです。
大企業のサラリーマンをやっている限り年収の差などたいしたことがありません。
現在の収入はどうやって構成されているか?
自社の役員報酬、株式のキャピタルゲイン、不動産収入、などなどです。
これらの収入には必ず先行投資した資産があります。
金の卵を産むガチョウで例えて説明します。
私は金の卵を産むガチョウを小さいときから育てます。
金の卵を産むようになったら卵を売ってお金に換えます。
そのお金が私の収入になります。
この話をすると言われるのが
金の卵を産むガチョウはどこにいるのでしょうか?
残念ながら金の卵を産むガチョウは売っていませんでした。
自分で育てていく必要があります。
ビジネスですからガチョウが卵を産んでくれないケースもあります。
でも考えぬいてやったビジネスは必ずリターンがあるものです。
(もちろん私も失敗はたくさんしています。)
ガチョウの卵を売っただけでは生活できないケースもあります。
でも将来を想像すれば余計なものへの物欲など消えていきます。
それってリスクがありますよね、とも言われます。
私からすれば
「リスクがなさそうなもの」こそ、リスクだらけです。
一時社会問題になった某地方銀行と不動産会社による不正融資などがまさにこのパターンです。
不動産会社が家賃収入を保証(一括リース契約)、銀行は物件取得費用を全額融資、
結果的に家賃受取額から返済額が必ずプラスになるというスキームでした。
報道によれば物件の建築価格が不当に高かったり、書類の改ざんが行われていたり、詐欺的だったことが明らかになっています。
低金利とはいえ、自己資金ゼロで簡単に家賃収入が確保できるような物件は存在しないから詐欺的にならざるを得ないのです。
これらの物件に投資をしていた者の中には医師、大手企業のサラリーマンなど比較的高額所得の人も含まれます。
というか社会的な立場のある人ほどリスクを避けるのでこういう話にのってしまいます。
実際私もこれらが明るみにでるまえ、仕事で接点のあった大手証券会社の人から「自分は年収が高いのでリスクゼロで投資できた」と自慢されたことがありました。
彼に投資スキームの内容を質問すると「それは不動産会社に任せているから」と言葉を濁したのです。
彼の話は不動産投資の経験のある私にはリスクだらけだと思いました。
自分の投資の概要を説明できない投資が上手くいくとは思えました。
参考までに私が不動産投資を始めたときのステップを説明させてください。
不動産投資で実績と信頼のおける人からコンサルティングを受けました。
・不動産投資とはどういうビジネスモデルなのか?
・銀行から融資を受けるときの要件は何か?
・様々な不動産投資スタイルのうち何が私にはあっているのか?
こんなやりとりを通じてコンサルタントから、
「投資の成否のかなりの部分が物件取得金額で決まる」
という本質的なことを教えて頂きました。
そのアドバイスにしたがって時間をかけて物件を選び不動産投資を始めることができたのです。かなりいい成績を残すことができていると思います。
当時は高いコンサルティング料だと思ったのですが最初に適切なアドバイスがあったからこそきちっとリターンを出せました。今考えるとコストパフォーマンスの良いコンサルティングでした。
なお不動産投資はビジネスで既に資産を持っていて、まとまった自己資金を投入できる人が行うべきものだと思います。
(私はビジネスでそれなりの元手ができてから不動産投資に取り組みました。)
横道にそれてしまいましたので話を戻します。
金の卵を産むガチョウは簡単には手に入りません。
自ら、そして経験者から一つひとつ学んで作ることができました。
オリンピックに出場するのでも、ノーベル賞を狙うのでもない、
と考えるとずいぶん気が楽になったものです。
自分なりに探していけば誰でもがガチョウを手に入れられると思います。
最初のガチョウはガチョウというより小さなヒヨコだと思います。
そのヒヨコの世話をしていけば金の卵を産むようになります。
そうやって様々な種類のヒヨコとガチョウを資産として保有した状態になると、
いつの間にか自分の年収が気にならなくなります。
年収という概念で自分を説明できないからです。
ふと気づくと、
他人と年収を比較しようという発想がなくなっていました。
誰でも時がくればそうなると思います。
私は年収を聞かれると金のガチョウの話をします。
ガチョウから生まれる卵=所得で生活していけるし、
卵を再投資しているので年収という発想はないし気にしていません、
こんな説明をさせて貰っています。
この話から
「真の豊かさを求めることの本質」
に気づいてもらえばこんなに嬉しいことはありません。
豊かさの本質さえ理解すれば生涯にわたって有効だと思います。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。